専門学校の生徒数は減少傾向にあるとか…
こんにちは。
弊社のようなデザイン制作会社では、美術系大学出身者だけではなく、専門学校卒のグラフィックデザイナーも積極的に採用しているわけですが、どうやら最近は専門学校生が減少傾向にある…とのお話を聞きました。
実際のところどうなのか??
ちょっと調べてみました。
※2019年追記修正を行いました。
専門学校のイメージ
専門学校というと‥‥職業訓練学校というような漠然としたイメージがあります。つまり、その先の就職する職業をイメージして、基礎知識や周辺知識、また、技能などを習得する学校。たとえば、看護・医療系、簿記・会計系、観光系、スポーツ系、調理・栄養系、デザイン系、ペット系‥‥などなど、職業に紐づいて基礎知識を学ぶ学校。なので、なりたい職業ありきでその職業の基礎知識を学ぶ学校ですよね。
では、専門学校生が減少傾向にある…ということは、18歳の時点で自分が将来就きたい仕事が決まっていない、もしくは決められない学生さんが増えているのかな‥‥と、想像したのですが実際のところどうなのでしょうか?
全国の専修学校数の推移
まずは専門学校自体の数が気になります。
平成以降、日本の家庭の可処分所得は増え、それにより子供に教育を受けさせることは容易になっているイメージですし、当然学校も増加傾向にあるだろう…と。
専修学校数の推移
昭和55年―――――2520校
昭和60年―――――3015校
平成05年―――――3431校
平成10年―――――3573校 ※直近40年間で最多
平成20年―――――3401校
平成30年―――――3160校
専門学校新聞/SengakunNetより
データ上、昭和から増えてきた専修学校数は平成10年にピークを迎えるとその後は現在に至るまで減少傾向にあります。意外でした。
いわゆる専門学校はどちらかと言えば、個性や多様性を育む教育の最終過程のイメージが強く、平成10年頃から推進されてきた個性尊重教育により、さらに多様化、細分化された専門学校が増えているのでは…と勝手に想像していました。
しかしながら、専門学校自体は減少傾向にある…と。
全国の専修学校の生徒数の推移
専修学校の生徒数の推移
昭和55年―――――432914人
昭和60年―――――538175人
平成05年―――――859173人 ※直近40年間で最多
平成10年―――――761094人
平成20年―――――657502人
平成30年―――――653132人
専門学校新聞/SengakunNetより
こちら、専修学校の生徒数の推移では平成5年をピークとしてやはり減少傾向にあります。
先に掲載した専修学校数の推移からすると妥当と思える結果でした。
というのも、そもそも平成21年から日本の人口は10年連続で減少していますので、単年での浮き沈みはあったとしても生徒数つまり16歳以上22歳程度までの人口も減少傾向にあります。
パイが縮小傾向にあるから専門学校生が減少傾向にある。そのような結論で片付けるのは妥当ですし分かりやすいのですが、せっかくですので、もう少し掘り下げてみたいと思います。
全国の大学進学率
昭和40年代以降、中学校卒業後の進学率が飛躍的に伸びていることは調べなくても容易に想像できますが、大学の進学率はどのように推移しているでしょうか?
4年制大学への進学率
昭和55年――――26.1%
昭和60年――――26.5%
平成05年――――28.0%
平成10年――――36.4%
平成20年――――49.1%
平成30年――――53.0%
武庫川女子大学資料より/※平成30年度数値のみ別資料より算出
4年制大学への進学率も飛躍的に伸びていました。(一方で短期大学への進学率は減少傾向にあります。)
個人的に想像していたより、はるかに増えているように感じます。
大学進学率が上昇した理由としては、簡単に大学が増えたが人口が減ったと考えると分かりやすいです。
大学自体は昭和50年代以降、途中、大学新設の規制緩和などの影響もあり平成22年頃まで増え続けましたが、先のデータ通り平成21年以降、日本の人口が減少している中で大学が生徒数を確保し続けると、人口が減少傾向にある分進学率が伸びる…という結果になります。
もちろん、側面としては各家庭の可処分所得が増えたことや、一人っ子家庭が増えて教育費を集中的に享受できる環境にある子供が増えたことなど、進学率を押し上げる要素は様々ありますが、大学が積極的に生徒数を確保した結果という結論が概ね正解と言えます。
専門学校より専門大学への進学を選ぶ学生が増えている?
ここまで見てきて、色々と言い方はあるかと思いますが、学生にとって大学が増えて入りやすくなっているというのは紛れもない事実として、一方、実は大学の学部学科が多様化・細分化して選択肢が増えて専門性の高い学習ができる大学が増えているという点も大学への進学を促す材料になっていると考えられます。
とくに、看護・福祉系の大学増加の例は顕著で、平成3年時点で僅か11校だった看護系大学は平成30年には263校にまで増えており、入学定員数は平成3年の558人から平成30年では23667人にまで増加しています。
<看護師学校の入学定員数の推移>
H3年 → H30年
大学・・・・・・・・・・・558人 → 22418人
短期大学・・・・・・・・・5090人 → 1650人
高等学校・・・・・・・・・1825人 → 4420人
文部科学省指定専修学校・・1960人 → 980人
厚生労働省指定専修学校・・31170人 → 36881人
この数字はあくまで看護・医療・福祉系の大学・専門学校での生徒数の推移で特に変化が顕著な例ですが、近年、専門性の高い職業への就職希望者にはこのように専門学校卒ルートと大学卒ルートが用意されている環境になっており、専門学校卒者が就職するのが主流だった職業に大卒で就くという形も増えていることが想像できます。
専門学校というルートを通る学生が減少傾向にある
つまり、そして恐らく、特定の職業に就くためのルートが複数存在するので、その専門学校というルートを通る学生が減ったということですね。
何となく専門学校生が減るというと‥‥経済的に余裕のある家庭が増えて大学もたくさんあるから、とりあえず大卒の学歴でも取って総合職志望にしておこう…というようなゆるい大学生が増えたのか‥‥と。若者を嘆く昭和の年寄り丸出しの想像をしてしまいましたが全くそんなことは無く、現実には、専門学校型大学卒者が増えたというだけのことでした。
10~20年前とは異なり、実は大学進学の時点で自分の将来を見据えて専門性の高い大学への進学を希望する学生さんが増えたということは好ましいことのように感じます。
学校の選び方…選ばれ方
就きたい職業が決まっている高校生にとって大学・専門学校と幅広い選択肢が用意されている環境で何を基準に学校を選ぶか…、逆に言えば学校側はどのようにして選ばれる学校になるか…は近年重要な課題になっているように感じます。
高校生がその先の進路を考える際に参考にする学校選ぶ為の情報を掲載したウェブサイトには
● 就職先(就職率、その一方で学校の中退率)
● 施設や設備(一般的な設備に加え、専門性の高い学科では特殊設備の有無)
● カリキュラム(授業時間・指導体制・資格取得率など)
● 学費(特待生制度・寮費なども含む)
● 雰囲気・評判(在校生・先生・インターネット上での評判など)
このような情報を精査しながら学校を選ぶようアドバイスしています。
…なるほど、中退率などの一見ネガティブな情報はなかなか公開されていないかも知れませんが学生さんにとっては知りたい情報ですね。。。。
そして、それらの情報をどのように入手するかについては、
● 学校案内パンフレットを取り寄せる
● ホームページを閲覧する
● オープンキャンパスに足を運ぶ
という方法をアドバイスしています。
その他、SNSなど在校生のコミュニティやいわゆる口コミを閲覧したり…という方法もあるようです。
1人あたりの私立大学の平均受験校数は3~5校、専門学校は1~3校。
高校生が最終的に願書を提出する大学・専門学校はそれくらいの数だそうです。
大学・専門学校を問わず、実際に入学者数を確保することは勿論重要ですが、まずはこの3~5校や1~3校に残ることが重要です。
そのために出来ることは先に記載させていただいた、学生さんが入手する情報=学校をフィルタリングして選択する方法に先回りして、他校との差別化を図ることだと思います。
コンタクトポイントは先に書いた通り、
● 学校案内パンフレット
● ホームページ
● オープンキャンパス
この3点、ここで出会った学生さん(欲を言えば保護者様にも)にしっかりと差別化=ブランディングを図ること。逆に言うと学校側がコントロールできるこの3つのコンタクトポイントにしっかり注力する必要があるということになります。ここで出会った学生さんの心をしっかりと掴み、興味を持って憧れを抱いてもらうことで、受験者数・願書提出者数は変化します。
さて、前置きが長くなりましたが、弊社ではこの3点で有効活用できるツールをご提案させていただいております。
あらゆるスタイルの学校やスクールの個性をしっかりデザインに落とし込んで学校案内やウェブサイトを制作させていただいております。
学校案内の制作について
ウェブデザイン制作について
プロモーションツール制作について
また、各種学校案内のデザイン制作実績も掲載しています。